ふでぺんボールペンの音楽科的考察

2010.03.21 Sun

最近、ちょっと事情があってあるアニソンのジャズアレンジなどをしなければならなくなった。
ご存知の方も多いかと思うけど「けいおん」というアニメである。

最初はな、うわっ!アニメ声でキモい!はずかしー!!
と、悶絶しながら、泣きながら聴き込んでいました。
(ファンの人、ゴメンなさい)

そうなんだよ。テーマが女子高の軽音楽部というアニメ。
(最近、音楽マンガがはやってるみたいだね。のだめとか。)

かなりひずみ系で荒々しいハードロックなサウンド。
だけどヴォーカルはアニメ声で、歌詞は「恋がふわふわ」とか「トキメキなんとか」ですごく恥ずかしい。ちょっとアンバランスな感じがおもしろいのだ。わはははは。とほほほ。


しかし、聴き込むうちになんだかスキになってきてしまった。
楽曲は4曲ほどあるのだけど、そのなかで特に惹かれたのが表題の「ふでぺんボールペン」である。

今日のレクチャーはこの楽曲の音楽的魅力に迫ってみたい。



   +++++



1、力強いイントロのメロディー

ラーソ#−ミード#−ミファ#ミファ#ミーミシーーーラソ#ラシ

ギターによるイントロのメロディーなんだけどね、
実に力強い、印象に残る良いメロディーだと思う。
これを作った人は考え付いたとき、「しめた!いただきだぜ!」と思ったに違いない。

ミファ#ミファ#をスラーでつなげるあたりもニクい。
あと最後のミシーーーという跳躍が実に力強い。

やはり印象に残るメロディーというのは何にも代えがたいのだ。
後述するけど、この楽曲、実に力強いメロディーが随所に出てくる。




2、Bメロのコード進行

C#m |C#mM7/C|C#m7/B |F#
F#m |G#m |Am |B|B


「君の笑顔想像しーてー」の部分である。
これ、わかる人にはすぐわかると思うのだけど、ベースラインクリシェという技法が使われている。
基本のコードはC#mなんだけど、ベースが半音ずつ下がっていくものだ。
なんとも奥行きがあって、オシャレな雰囲気を出すことができる。(気がする)

ジャズで言うならIn A Sentimental Moodの冒頭で使われているのが超有名。
あとボサノバでもいっぱい出てくる。ジョビンの多くの楽曲にもあるけど、How Insensitiveなどで出てくるのだ。


さて、前半をIV度のF#で終わり、そこから後半の冒頭F#mに行くところも実にオシャレ。
(これ、サブドミナント・マイナーだよね?詳しい人誰か教えて。あってる??)


そしてBメロの後半、ここからがキモである。
F#mから全音あがってG#m、半音あがってAm、全音あがってBと、だんだん盛り上がってサビにドカーンと突入するぜ!という演出だ。

前半はクリシェで下がっていく。マイナーだし、ちょっと気分は盛り下がっていく感じなのだ。
それと対照的に、後半はダイアトニックでズンズンズンとベースが上がっていく。気分がどんどん高揚していってサビに突入!というしかけだ。
この対比がすばらしいのだ。
うーーーーーむ。やられたぜ。


少々トピック外になってしまうが、このBメロってのが実は9小節。
通常4,8,12,16などの小節数でメロディーをまとめてしまうものなんだけど、あえて最後の伸ばしを1小節多く設けることによって流れが自然で、次のサビのメロディーが生きてくるのだ。


さらにもう一点、2番のあと、ギターソロ直前のところではいきなりこのクリシェのコード進行が出現する。これがまた実に意表をつく感じでびっくりするのだ。
一瞬、ソロ用のまったく違うコード進行が準備されていたのか?と思ってしまったのだけど、採譜してみるとただのBメロだったのだ。ははは。やられた。
それだけこのコード進行は強い。印象的だ。ということですね。



3、シンコペーションが効いたメロディー

この曲、実は演奏してみるとかなり難しい。
というのもほぼ全曲のメロディーにシンコペーションがばっちり効いているのだ。



*前半がオンビート。後半がシンコペーション

シンコペーションとは音符を0.5拍「先取り」することによってメロディーを躍動的にする、メロディーに命を与えるテクニックである。


先ほどのBメロなんかは、オンビートのメロディーとオフビート(シンコペーション)のメロディーがたくみに組み合わさっている。


「きみのえがお想ー像ーしーてー」

の部分は、「えがお」までがオンで「想像して」がオフなのだ。

ここのみならず、メロディーの約70%は8部音符食いで実に躍動的。

次項でお話しするサビのメロディーもしかりである。
「愛を込めてくるくーるとね」の部分は力強いオン。
直後の「さあかーきーだーそーうー」の部分はシンコペーション。

この対比が美しい。そして難しいのだ。


シンコペーションの美しい楽曲といえばやはりボサノバ。
Dindi、Disafinadoなどジョビンの名曲の数々はシンコペーションのみにによって構成されているといっても過言ではないでしょう。




4、力強いメロディーその2


いよいよサビである。

この冒頭のメロディー、「愛を込めてくるくーるとね」の部分。
ミシシミシシミシシーラソ#ラなんだけど、このミとシの関係。完全5度なのだ。

オクターブ(完全8度)の次に力強いこの5度の跳躍。
この跳躍を3回連続で叩きつける!!

実に単純で、なーんだ。そんな簡単なこと、と思ってしまいがちでしょうが、このシンプルにして大胆なメロディーはおれでは思いつかない・・・・。
これを聴いたときは頭を抱えてしまったよ。

前述のBメロでガーっと高揚していった気分をこの大胆にして力強いメロディーで一気に爆発させる。
実に巧みにして計算しつくされた展開であると思う。




  ++++++




と、いうわけで今日のレクチャーはここまで。

前回の宿題は「昭和のアニソンと流行歌の比較論」でしたね。
今提出できない人は今日の5時までに研究室まで持ってくるように。

次週はガッチャマンのテーマ/小林亜星にみられる高度な音楽的テクニックについてお話します。




さいごにこれが原曲である。
参考に。

http://www.youtube.com/watch?v=Nwmq8Afan9w



結局ね、こいつをボサノバにアレンジしました。
これがねえ、シンコペーションとクリシェラインで実にボッサに合うんだよ!
そうだねー。当然といえば当然だよね。

  1. 2010/03/21(日) 12:21:29|
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