Jazz学習者向け良書ガイド - コンポーザーが教える作曲テクニック99

2012.02.22 Wed

コンポーザーが教える作曲テクニック99 瀬川英史 著
リットーミュージック; A5 edition (2010/11/25)


*中級者〜上級者向け


おそらく日本で一番多忙な作曲家、瀬川英史さんの作品。
膨大な彼の作品群はテレビで耳にしない日はないことでしょう。

そんな氏の作曲のテクニックすべてが満載された良書。

でも失礼を承知であえて言わせていただくなら「作曲本」ではありません。
たとえばギターを初めて手にした高校生なんかが「おっしゃ!曲を作るだべ!」と思って手にしたら大ハズレになってしまうでしょうね。苦笑。
実際、そういう作曲テクを望むユーザーからはかなり酷評されているようです。(Amazonのレビューなどで)
それもまったくそのとおりだと思います。

しかし、作曲のみならず大系的に音楽全般を学ぶ音楽業界を学ぶ、そしてプロの職業音楽家の仕事を学ぶための素晴らしい本だと思います。

このリットーミュージックのシリーズのフォーマットに準拠して、99の項目に分けて精神論から聴くべきCD、かなり高度な和声のこと、DTMの重要性、職業作曲家の生き様なんてものが語られています。

おいおい、こんなことまでバラしていいの?
うあ!こんな細かい事まで??
なんて言う面白テーマも満載。
写譜ペンの使い方はびっくりしたなあ〜!わはは。


もちろんぼくらジャズ学習者&演奏者にとって本当に有益なものも非常に多いです。
ジャズだけを学校で学んでいては絶対に知りえないことについても多く書かれています。

作曲のみならず、アレンジのヒントが満載。アレンジに悩む人にはかなり強力な助け舟になること間違いなし。

もちろんジャズ演奏者としてアドリブ演奏に活かせるポイントもたくさんあるぞ。

ひとつ引用させていただきましょう。

「(歌モノのレコーディング。間奏で、)弾きまくりのギターソロなんて本人以外誰も聴きたくない。歌のメロディーをちょっとフェイクしただけのソロこそが一番説得力を持つソロだ。
そんなソロができるプレイヤーは音楽家としての信用が一瞬で高騰する。
そしてそんなソロをその場でアドリブで生み出せるなんて本当の天才のみだ。」


これはぼく自分が長年の演奏経験とレコーディング経験で学んできたことと全く同じでびっくりしたのです。
否、わかっていたんですけどね。ここまでわかりやすい文章にされて適切に表現されてかなりびっくりしたんですよ。




そして演奏家のみならず、いかなるジャンル、スタイルでも、プロとして生きるための必須の知識や経験談がぎっちりと詰まっています。
コンポーザー/アレンジャー/パフォーマー/ミキサー/プロデューサー、どの職種でもプロなら絶対に役に立つ情報の宝庫であると断言してしまいましょう。
本当の職業音楽家だからこそが語れるテーマばかりです。
そして職業音楽家を目指す人なら読むべき本。


ひとつ問題は、かなり広範なテーマに触れすぎていて、物理的に紙面が限られているため、掘り下げたところまでは書かれていない、書ききれていない項目が少々あるみたいなのです。
(これは著者ご本人も指摘されてます。)

実際ぼくもいくつかの項目でそんな感想を持ちました。
「うあ!すごい!そうだったのか!でももうちょっと説明してよ!!」てな感じ。
しかし、確かにオーケストラの弦の和声について1ページでまとめろなんて土台無理な話。
この本をガイドにして、うんと興味を持った分野に関してはより深いところを自分で掘り下げていくのが良いでしょうね。




    ++++++



前回の良書ガイドもそうなんだけど、実は全然「Jazz向け」ではないんですよね。そこはどうぞそういうものだと思ってご了承くださいませ。

しかし、おれレッスンでもいつも話すけど他のジャンルの音楽を勉強すること。ジャズとかアドリブだけに固執せず、音楽全般を広い視野と興味で柔軟に勉強すること&楽しむことが何より重要だと思うのです。

そんな観点からひとつ前に紹介した本と今回のこの一冊は絶対にお勧めできます。


  1. 2012/02/22(水) 01:33:28|
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Jazz学習者向け良書ガイド〜「音楽の正体」渡辺 健一

2012.02.06 Mon

「音楽の正体」渡辺 健一 著

ヤマハミュージックメディア (1998/12/10)



*初心者〜中級者向け


同タイトルのフジテレビの深夜番組の解説本。
とくにJazzに特化したものではありませんが、幅広く音楽全体の基礎知識を得ることが出来ます。
「音楽には興味がある/好きだけど、理屈はひとつもわからない。小中学校で音楽の授業を受けたことしかない。」
という人に向けて書かれている本。

読み終わった日から音楽を聴きかたが変わること間違いなし。



基礎的なコード進行や、基本にして実に実践的なテクニックについての説明を超有名ポップチューンを題材にものすごくわかりやすく説明してある。
譜例がいっぱいあることも評価高いです。
ピアノを弾きながら読めば理解度70%アップ。
いやいや、読む時にピアノが欲しくなりますよ。

意外とがっちりジャズの勉強をしてきたり、音大でクラシックや作曲を学んだことのある人が知らなかった!なんて言うことについても触れてあると思うよ。

もちろん、音大などで正式に学問として習う数々のテクニックや技法、音楽理論などをわかりやすいたとえ話と誰でも知ってる名曲を例にして解説しています。

とくに昭和の名曲などを題材に説明されると「なるほど!」と言いたくなること間違いなし。
(そうか!読む人の世代を選ぶかもね!これがこの本の唯一の弱点かも。)


正直Jazzのテキストでは全くありません
そしてHow to本でもないし、解説書でも学術書でもない。
でも読み物としてすっごく面白い。

ぼくらJazz学習者にとって見落としやすい、広い意味での本当の「音楽」の基本について学ぶところ、アドリブなどに応用できるところがとっても多いはずだよ。

「なぜ人は音楽で心を動かされるのか?」
「名曲がなぜ名曲と呼ばれるかにはかなり明確な理由がきちんと説明できる。」
「曲が盛り上がる/盛り下がるには理由がある。」
「抽象音楽とは。」
「平均律とは。」

などなど・・・・。



大名作だと思うんだけど残念ながら現在は絶版!
古本屋さんで見つけたらすぐ買おう。
心から復刊、再販を願う良書のひとつです。


著者の渡辺健一さんは実際にその深夜番組を作成された構成作家さん。
しかし大学で作曲、音楽美学などを専攻された異色の経歴を持つ方です。なるほど!彼ならではの著書だと思いますね。




   ++++++




(以下小声で読んで)
実はこの本のオリジナルである当時の深夜番組「音楽の正体」は一部Youtubeで見れるみたいです。
検索してぜひ見てみよう!

  1. 2012/02/06(月) 23:51:10|
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Jazz学習者向け良書ガイド - The Jazz Theory Book/Mark Levine

2012.01.28 Sat

The Jazz Theory Book/Mark Levine
Sher Music/Advance Music 1995




*中級者〜上級者

巷にあふれる当たり前のジャズ理論書とは一線を画す良書。
ヘンテコな理論書、当たり前の理論書なんか読む必要ないよ。
この一冊でオッケイだよ。

実戦的で、実にわかりやすく書かれている。
上から目線じゃなく、理論に対してなぜ?どうして?ってとこを説得力ある文章でわかりやすく説明。
具体的なフレーズ例が多いところが実にすばらしい。
実際にCDとして世に出ている達人たちの名演奏の数々から具体的な例をピックアップしてるんですよ。
すぐに音源をチェックして、聴いて確かめて「なるほど!」と言えるのだ。


プレイヤーが悩みそうな疑問にプレイヤー目線でわかりやすくかかれてます。
悩めるあなたの疑問が氷解すること間違いなし。
理屈とかスケールの一覧とかしか書かれていない普通の理論書では絶対わからない部分についてわかりやすく説明。


なぜメロディックマイナーが重要なのか?
なぜ分数コードなのか?
モードとは?
などなど・・・。


和訳も出てて、普通に大きな楽器屋で買えます。

マークレヴィン ザ・ジャズ・セオリー(日本語版)

すこし高いのがネック。でも買う価値絶対あると思う。



英語がわかる人は英語バージョンに挑戦すべし。(こっちの方が安いし!)
中学英語で読めるはず!

  1. 2012/01/28(土) 19:30:05|
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Jazz学習者向け良書ガイド〜「山下洋輔のジャズの掟」

2012.01.21 Sat

山下洋輔のジャズの掟 ジャズ・マスターズ・シリーズ
山下洋輔・香取良彦 著
2008年 全音楽譜出版社 定価:¥2,900+税




対象:超初心者〜中の上級者向け

・ジャズっていったいどうなってるの?
・どういうルールでみんな演奏してるの?
・アドリブってなによ?
・どうやってソロをまわすの?
・4バースってなに?


こういうのって定期的にジャムセッションに行ったり、ジャズ研究会に属していたりしないと実はあまり分からないことだったりすると思うんだ。
アドリブ法を説明するテキストはあっても、意外と知らないこういうジャズの常識みたいのを解説する本ってなかったと思うんだ。
そんな疑問にもわかりやすく答える良書。

もちろんコードに対して使える音は?スケールは?テンションとは?
なんていう一般的なジャズ教書の範囲もしっかり網羅しています。

さらに、山下御大の実体験によるジャズの心得的な文章もとっても面白い。
御大のわかりやすいおもしろ文章で語られてます。
ジャズの「オキテ」と「オキテ破り」なんて考え、非常に共感できます。ぼく自身もよく引用させてもらってます。

もともとNHKの趣味講座の番組テキストだったんですけどね。
それゆえか、従来のジャズテキストみたいな独りよがり&上から目線的書き方ではなく、まったくの初心者にわかりやすいように書いてるので本当の初心者に自信を持ってお勧めできます。
実にわかりやすいです。

実際ぼくも激初心者の生徒さんにはまずこれをお勧めしています。
楽器問わずです。

大きい楽器屋さんならだいたい売ってると思う。


   +++++


新シリーズ開始でーす。
よく生徒さんとかに聞かれるので覚書きのつもりで書きます。
ぜひ参考になすってください。

紹介したい本いっぱいあるよ!
ご期待ください。

  1. 2012/01/21(土) 22:26:50|
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